リチウムイオンバッテリーの機能は、他のバッテリー同様、負極と正極(マイナスとプラスに帯電した電極)間の放電・充電時のスムーズな輸送プロセスに左右されます。この2極間には純粋なイオン伝導性電解液が存在します。これにより、電極間のリチウムイオン輸送を確保しつつ、他の電子が通過することを防ぎます。簡単に言えば、バッテリーの放電時(=使用時)には、負極側はリチウムイオンと電子を放出します。電子はバッテリーの外部回路を通って正極に移動し電流が流れます。これを補うため、リチウムイオンも電解液を通って正極側に移動し、そこに蓄えられます。充電時は、これと逆のプロセスが生じます。電池製造メーカーの抱える課題は、バッテリーのエネルギー密度が高くなって、一方で電極の圧縮率が上がり、イオンが移動するスペースが小さくなっても、この動作シーケンスを維持することにあります。
高効率バッテリーのための
カーボン添加剤
電気自動車の普及や分散型蓄電装置としての計画利用は、ある主要製品と切り離すことができません。それはリチウムイオンバッテリーです。可能な限りのコンパクトさを保持しつつ最高の性能と寿命を有するその特性は、今後の発展を決定づけるものです。優れたリチウムイオンバッテリー開発に取り組むメーカーは、これまで、何度も技術的な限界を経験してきました。革新的なバッテリー添加剤は、この限界を突破し、より高い性能へと前進させる一助となります。
私たちの貢献:電池セル設計者のための独自のカーボン添加剤、Porocarb(ポロカーボ)

電池セル製造メーカーは、リチウムイオンバッテリーを最適化するために、電極用の様々な添加剤を長年にわたって研究してきました。ヘレウス・バッテリーテクノロジーの専門家は数年をかけ、全く新しいタイプの添加剤を開発し、市場の成熟度を高めました。ポロカーボと呼ばれる製品は、多孔質の合カーボン性能添加剤で、乾燥したカーボンパウダーです。合成されたカーボン性能添加剤として、この製品は特定のセルデザインのニーズに合わせて調整することができます。
ヘレウス・バッテリーテクノロジーの戦略責任者、ドミニク・サミュエリス博士は、「この製品は、粒子径、細孔径、細孔容積、全表面積、電気伝導度、熱伝導度などの調整が可能です。カーボン全体にイオンを運ぶことができるため、セル設計に新たな自由度を持てるようになりました」と述べています。
私たちの合成高性能カーボン添加物は、導電性を重視している従来の添加剤に比べ、イオン伝導性と熱伝導性に重点的に取り組んでいます。パイロットプロジェクトでの研究結果によると、ポロカーボをバッテリー添加剤として使用すると、放電性能が向上し、eモビリティの場合は走行距離が伸びることが証明されています。 さらに、「ハイパワー」グレードのタイプは、セルの発熱を最小限に抑え、バッテリーのサイクル寿命を向上させながら、より長い放電時間を可能にします。
2021年7月、ヘレウス・バッテリーテクノロジーは、ロッテルダムに初のポロカーボ製造工場を開設し、セルメーカーやOEMメーカーにご提供しています。「製造工程の重要なステップをすべて自分たちでカバーしています」とドミニク・サムエリス博士はコメントしています。