今回ヘレウスが製造した歯車は、過去に製造したすべての結果を上回りました。積層造形されたこの小型な機械部品の重量は、2キログラムです。主に1000ケルビン毎秒を超える高速冷却が必要であったため、これまではアモルファス金属から製造できるのは小型で軽量な部品のみでした。開発中に歯車のトポロジー最適化が施されたため、従来製造したものと比較して重量を50パーセント削減することができました。ヘレウスは再度、サイズと形状の複雑さの観点で既存技術の限界を見直し、オートメーション業界やロボット工学などにおける設計の可能性を根本的に変えました。ヘレウスは、市場で販売されているレーザ溶融3Dプリンティングシステムを使用して、この世界記録を樹立することに成功しました。
全く新しい設計と応用を可能にするアモルファス金属
純金属および一般的な合金とは対照的に、アモルファス金属は不規則な非結晶構造が特徴です。それらは通常、一つの材料だけでは持ち合わすことのない複数の特性、つまり極度の硬度、高降伏強度、高弾力性、優れた耐食性、高耐摩耗性、ポリマー弾性を兼ね備えています。また、軟磁気特性を有し、容易に磁化および消磁します。アモルファス金属は、このような特性を持ち合わせるため、鋼鉄、チタン、他の多くの材料よりも優れています。
精密製造による軽量化
ヘレウスの特殊材料を使用した精密な積層造形技術は、材料の使用量とコストを低減し、軽量化に貢献します。このような利点は更に、全体的な製造コストも低減します。従来の方法では、複雑な部品の製造には、多くのプロセスと製造工程を経なければならず、またいくつかの部品を個々に製造した後、ユニットに組立てる必要がありました。一方、積層造形ではこのような工程を単一プロセスで行うことができます。プリンタに組込まれた後、部品はすぐに使用でき、機能します。
ヘレウスは、世界最大の積層造形されたアモルファス金属の歯車を、2019年4月8日から11日まで、米国イリノイ州シカゴにある北米最大のコンベンションセンターMcCormick Placeで開催されたAutomate2019にて、紹介しました。
この記録的な歯車は、米国カリフォルニア州パサデナにある、アメリカ航空宇宙局(NASA)の一部門が独立し設立された会社、 Amorphology Inc. との共同プロジェクトとして実現しました。