このような要求に応えるのが、特殊形状の赤外線ヒーターです。加熱対象物に損傷を与えることなく、バリを正確に取り除きます。ヘレウス・ノーブルライトのアプリケーションセンターエンジニア、ルドルフ・レンブケ は、「赤外線加熱によるバリ取りによって、費用のかかるプロセスを自動化し、再現性のある結果を得ることができます。お客様の中には、導入以来同じ赤外線ヒーターを使用して、50万回以上のバリ取りサイクルを実施したことのあるお客様がいらっしゃいます。」と、コメントしています
ヘレウス・ノーブルライトは、今年10月にドイツ・デュッセルドルフで開催される国際プラスチック・ゴム産業展「K 2019」において、特殊形状の赤外線ヒーターを展示します。このような手法が、いかに形状、電圧、出力の点でお客様の製品とプロセスに正確に一致しているかをご紹介します。
バリ取りの高速化と不良品の減少へ
プラスチック製のハンドル、カバー、パネルは、射出成形によって製造されることがよくあります。 この方法では、例えば加熱対象物の断端面に発生する鋭利なバリを防止することは、必ずしも可能ではありません。特に形状が複雑な部品では、さらなる加工工程またはコーティング工程の前に、バリを除去することは大変困難な課題となります。
ガス炎や特別な工具を使った手作業でのバリ取りでは、均一で再現性のある結果は得られません。また、これらの方法ではバリ取りに時間がかかり、インライン仕上げは不可能でした。石英ガラス製の赤外線ヒーターは、加熱対象物の輪郭またはバリの発生箇所に合わせて成形することができ、加熱対象物を損傷することなく、正確にバリを溶かし除去することができます。材料やバリの強度にもよりますが、赤外線によるバリ取りにかかる時間はたったの約4〜12秒以内です。その結果、バリの輪郭に少しずつ合わせていくコロナ炎よりも、はるかに速くバリを取り除くことができます。加熱対象物の輪郭に合わせた赤外線ヒーターを用いることで、たった1つの工程でバリ取りができます。赤外線の光エネルギーはほんの数秒、プラスチック部品の表面のみに、非接触にかつ正確に届けられます。これは、特殊形状の赤外線ヒーターの上に直接コーティングとして塗布されるリフレクタ(反射膜)があるので可能になります。赤外線ヒーターから放射された光エネルギーは、正確にバリに当たるように設計されています。結果として、インラインでの仕上げが可能であり、成形部品の製造における不良率を著しく減少させることができます。
エネルギーを節約する自動化プロセス
特殊形状の赤外線ヒーターを搭載された赤外線システムは、ロボットや機械的ハンドリングシステムに簡単に組み込むことができます。ロボットが射出成形機からプラスチック部品を取り出し、それを赤外線ヒーターの前にセットし、ヒーターが連動運転されます。バリが溶け除去されると、赤外線ヒーターはオフになり、ロボットは部品を次の工程に搬送します。赤外線ヒーターは必要な時にのみ数秒でオン/オフされるため、エネルギー消費は非常に効率的で、時間が短縮されます。これにより、製造コストが削減されます。
最適な結果を得るための照射試験とカスタマイズ
モダンなデザインには品質の高さが求められます。つまり、材料の多様性が絶えず高くなっていることを意味します。ポリカーボネートとABS樹脂の混合物はよく使用されますが、すべてのプラスチックが熱によってバリを除去できるわけではありません。幸い、ポリカーボネートとABS樹脂の混合プラスチックは、熱によってバリを取り除くことが可能です。樹脂の材料によっては、バリ取りが難しいものもあります。赤外線加熱によるバリ取りが可能かどうかは、ヘレウスノーブルライトのアプリケーションセンターで試験することができ、結果を基に赤外線加熱プロセスを創ることができます。
*ABS樹脂:アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを化学的に結合させたプラスチック