ヘレウス・ノーブルライト社(以下ヘレウス社、ドイツ・ハーナウ市、代表取締役社長ヴォルフガング・シュタング)は、プラグ・アンド・プレイという接続してすぐに使えるというコンセプトを起用した、UV-LED「Semray® UV 4003(和名 セムレイ、以下、本製品)」を開発しましたことをお知らせいたします。本製品は、生産に おける柔軟性、効率性、シンプルさを追求した空冷式UV-LEDです。また、ヘレウス株式会社(以下、 当社。東京都文京区大塚2-9-3、代表取締役社長 土屋 淳)は、日本国内における販売を拡大する ことをお知らせいたします。
本製品は、UV-LEDの産業用ランプとして、生産プロセスの効率化を図るために開発されました。本製品の主な特長は以下の通りです。
1. 光学系の設計
UV-LEDは昨今、ランプの高出力化が著しく進んでいます。UV-LEDランプの出力は、理屈の上では、基板により多くのUV-LEDチップを組み込めば組み込むほど高くなります。しかし、UV-LEDチップの入力に対する光の転換効率が上昇したとしても、現実には入力する電力の約70%は熱として放出され、半導体であるLEDチップの発光効率は温度の影響を受けるため、ランプの作動中に常に最適な温度を維持する必要があります。これを実現するためには、効率の良い冷却機構が必要になります。本製品は、基板のLEDチップの数を効率良く冷却できる条件を満たす最大限の数に抑え、基板への入力電力を最適化することにより、高出力化を実現しています。
通常ランプには、仕様により、光の反射、集光など光の向きを調整するための設計を取り入れており、それらを光学系と呼びます。本製品は、各LEDチップから放射状に発光する光をヘレウス独自の光学系であるマイクロオプティクスにより集光し、射出角を60°に補正しています。光の散乱である迷光を低減させ、より多くのUVエネルギーが対象物に照射できるように設計されています(図1)。これにより、光源距離が離れても、照度の低下が少なく、よりUV出力の高い条件で最適な硬化プロセスが得られます。
2. 高効率な冷却システム
本製品は、空冷式高出力UV-LEDランプですが、LEDの安定した出力を得るためには、常にチップの冷却状態が最適な温度範囲にある必要があります。そのため本製品では、温度を監視しながら、コンピューター・シミュレーションに基づく自動ファン制御機構を採用しています。チップは常に均一で安定した状態で発光し、最適な温度を保ちます。急速なランプ出力の変化に対しても、自動的に瞬時に冷却条件に対応します。この冷却コントロール機構により、本製品は、あらゆる出力範囲で、常に安定した発光状態を得ることができます。
3. 産業用ランプとしての対応能力
本製品は、UV-LEDの産業用ランプとしての柔軟性を最大限に高めています。LED照射部分は、セグメントと呼ばれる幅77mmのUV-LEDランプで構成され、バックプレーンと呼ばれる背骨のようなもので固定されています(図2)。バックプレーンに装着するセグメントの数は、お客様の必要照射幅に合わせることができます。各セグメントへの電源と信号は、バックプレーンを通じて供給されます。各セグメントへの電源ケーブルならびに信号ケーブルの接続は不要です。これら2本のケーブルは、バックプレーンに直接接続され固定されています。各セグメントのバックプレーンへの脱着には、特別な工具は必要なく、手で簡単に行うことができます。
このような照射幅に柔軟性を持つランプシステムの大きな利点の一つは、製品の研究開発段階から生産実機まで同じ光源を使用できるという点にあります。つまり、研究開発では、小型な装置として1~3セグメントの照射で実験を行い、実機でのスケールアップの照射では、必要照射幅に変更するだけで研究開発と同じ条件で行えます。従って、少量試験の結果と量産条件との整合性が非常に取りやすい状況を作り出すことができます。
また、修理または故障の場合もプラグ・アンド・プレイコンセプトが生かされています。従来のUV-LEDシステムは、製造工程に恒久的に設置されています。そのようなシステムの不具合やメンテナンスの際は、システム全体を解体する必要があり、長い作業時間と多くの費用がかかります。一方、本製品の場合、故障セグメントを手で取り外し、新しいものに交換するだけで再び照射が可能となります。これにより、生産機のダウンタイムを大幅に短縮することができ、時間とコストを節約することで生産性を向上させることが可能になります。
さらにLEDチップの進化は日進月歩で、常に新しい高出力チップや波長の異なるチップが市場に出現しています。本製品は、セグメント内のモジュールボードを交換するだけで、最新のチップや波長の異なるチップに交換することができます。ユーザーは、投資コストを抑えながら現在の技術水準を維持する、またはUV波長を変更したりすることができます。
このように本製品は、産業用ランプとしての利便性を究極に追求したUV-LEDランプとなっています。
当社は、今後も、UV硬化性能、柔軟性、信頼性、そして利益性を追求したシンプルなUV-LED光源を用いて、光エネルギーを利用される産業分野へ、さまざまな生産プロセスを提案してまいります。また、真空紫外から中波長赤外線領域までの光を、幅広い産業分野にプロセスとしてご提案しています。UV-LEDの単一波長によるUV硬化プロセスにおいて、その硬化反応の効率を著しく向上させる複合的な光でのプロセスのご提案も可能です。当社では、本製品が既存のUVランプに代わる次世代の光源として、今後ますます多様化する産業界のご要望にきめ細やかにお応えしていきます。