コンバーティング向けUV LED硬化プロセスの開発

以下に掲載する質問は、従来のUV硬化技術を熟知しているプロセス開発・設計エンジニアから私たちに寄せられる最も一般的なものです。そのようなエンジニアは、ラミネート接着剤(フィルムとフィルム、フィルムと紙、フィルムと箔)、ハイドロゲル(経皮貼布など)、ナノインプリントリソグラフィーなど、自社のワイドウェブコンバーティングプロセスにUV LED硬化を検討しています。

Semrayマイクロオプティクス

回答1:5mmから30mmまでのいずれかが単純な回答です。基材を最大エネルギー密度で照射し、それによって速いライン速度を得るためには、UVLED硬化ユニットをできるだけウェブに近づけた距離に設置するのが望ましいです。しかしその状態では、ウェブが接触し、塗料あるいは接着剤で照射面が汚れる可能性が高いことから、照射面(及び製品)を損傷する危険があります。Semray UV LED硬化システムで使用されているマイクロオプティクスでは、エネルギー密度が著しく低下することなくウェブ全体の均一性を確保するため、コンバーティングラインにおいて20mmから30mmの光源距離に設定することができます。

回答2:ラミネート接着剤(フィルムとフィルム、フィルムと箔、フィルムと紙)、感圧接着剤、ハイドロゲル(経皮貼布など)、またはUVエネルギーが塗料の真下に到達する、あるいはフィルム上にパターン(ナノインプリントリソグラフィー)を形成する透過フィルムといった基材の片面を透過するプロセスです。UV LEDの単一波長出力(365nm又は385nm)は鉄ドープUVランプに類似しています。従って、そのようなランプに適した塗料が使用され、場合によっては若干フォーミュレーションを変えて使用されています。

幅広タイプのUV LED

回答3:いいえ、UV LEDは90インチ(2300mm)幅までのラインで使用することができます。UV LED硬化システムメーカーはお客様が必要とする長さのアレイか、あるいはUV LEDの小型アレイを必要とする幅にした単一システムに組み合わせて製造します。例えば、UV LEDのモジュール型で「プラグ&プレイ」というコンセプトのUV LED硬化システム「Semray」は、ハウジングまたはバックプレーンに装着される3インチ(77mm)幅のセグメントを使用します。このバックプレーンには通信と電源に必要なケーブル接続が組み込まれており、90インチのコンバーティングラインに十分対応できるセグメントが装備されています。

UV LED照射均一性の比較

回答4:ウェブ幅全体の照射均一性は選定された特定の装置に依存しますが、一般的に均一性は基材から離れた距離にあるUV LEDの方が良好です。近接しすぎると、「ホットスポット」が生じる傾向にあります。ほとんどのコンバーティングラインはウェブから10~30mmにUV LEDを配置していますが、特に特殊な光学制御がない限り、UVエネルギー密度はかなり低く、これがライン速度を低下させることになります。UV LED硬化システムSemrayで使用されているマイクロオプティクスは、エネルギー密度を大きく低下させることなく、ウェブ幅全体の均一性を保ちます。(3チャンネルで構成される)各セグメントは出荷前に±2%の精度(殆どのUV照度計の測定許容範囲内)で校正されています。この校正で私たちは大型システムにおいても±5%の全体の均一性を達成しています。

回答5:従来のUVランプとUV LEDシステムをどのように比較するかについては多くの曖昧さがあります。使用される用語が統一されていない、あるいは重複していることが多いためです。特にUV LED硬化の場合、装置の仕様は製造元によって異なる場合があります。この質問は、実際には2つありますので、それぞれ回答いたします。

1. UVランプの電源条件は、ランプが消費する電気入力を表しています。ワットまたはワット/センチメートルと書かれています。UVを発生させるために石英バルブを使用する従来のランプは、電気入力をW/cmで示します。ランプを動作させるのに必要な総電力を計算するためには、入力電力にバルブの長さ(センチメートル)を単純に乗算します(例えば76.2 cmのバルブの場合、76.2 cm × 236.22 W/cm = 18,000ワット)。異なる長さのランプを容易に比較するために、この方法で電力を決めます。

UV LED硬化ユニットは、従来のシステムと同様の長い連続したバルブがないので、このW/cm仕様を入力電力として使用することはできません。その代わりに、UV LED硬化ランプはアレイと呼ばれる複数の列と行に密集して詰め込まれた非常に小さなLEDダイオードを多数使用しているため、入力電力を指定するためにはワットのみを使用します。一般的には、UV LEDランプのサイズは、照射面の寸法、ダイオードを外気から隔てる石英窓によって規定され、長さと幅に関して記載されています。

いずれの場合も、この入力電力はランプまたはアレイのみであり、硬化システムを動作させるのに必要な総電力を示すものではありません。UV硬化装置メーカーの中には、ワット単位の合計消費電力の仕様を含めていますが、すべてがそうではありません。

2. ランプのUV出力は、照度(強度と呼ばれることもある)と呼ばれ、ランプから所定の距離で見られる最も高いUVエネルギーを表し、エンドユーザーにとって非常に実用的な値になります。楕円形リフレクタを使用する従来のシステムでは、ピーク照度はバルブから数センチの位置に集中しています。UV LEDシステムの場合、ほとんどのメーカーから提示されている照度は、照射面で直接測定されています。いずれの場合も、照度は多くの場合、1平方センチメートル当たりの値(W/cm2)です。

硬化に影響を及ぼす2つの最も重要な値は、一般的にはピーク照度(W/cm2)および総エネルギー(J/cm2)であり、照射時間を考慮して積算光量と呼ばれることもある。特定の硬化プロセスでは、これらの測定は、UV LED硬化ユニットの照射面ではなく基板の位置で行う必要があります。エンドユーザーは、UV LED硬化の適切な光量計を使用して測定を行い、プロセスの硬化パラメータを特定する必要があります。テクニカルペーパー 「従来のUV硬化プロセス対UV LED硬化プロセスの比較」 をダウンロードしてUV LEDの出力を正しく測定する方法をご覧ください。

UV LED技術のコスト

回答6:UVエネルギー出力が年間12%増加しているという現在の動向が継続する場合は、UV LED硬化を採用することはまだリスクを伴うと思われます。しかし、UV LEDメーカーの中には、システム全体を交換するのではなく、新しいモジュールに更新するというモジュール式システムを提供しており、コストの優位性があります。例えば、UV LED硬化モジュールSemrayでは、LEDアレイは将来的に最新技術のものに更新、あるいはプロセスの変更に伴い異なる波長に更新することができます。その他は何も変更する必要はありません。

回答7:UV LEDは赤外線(IR)による熱を発生させるものではなく、従来のUV硬化ランプの1/10の温度で作動します。正確にどれだけ少ない熱がお客様の基材に達するかは、基材の色とUV塗料(暗色は熱をより吸収する)、お客様がその場所に冷却ロールを設置されているか、ライン速度、光源距離といった多くの要素に起因します。一般的に言えば、UV LEDを用いて熱に弱い基材を硬化できるかどうか、ラボテストを実施し決定するのが最良の方法です。

回答8:UV LEDは20,000時間以上作動しますが、全てのUV硬化ランプと同様に、従来のUV硬化ランプよりも遅れて出力の経時変化が生じます。有効寿命は、UV LEDがどれだけ長く、十分なエネルギーを出力するのかを示すかなり有意義な尺度になります。残念ながら、有効寿命を定量化する試験条件とエネルギー出力、および低下率を特定する業界基準はありません。

個々のLEDチップの故障といった故障メカニズムについては、一貫したエネルギー出力を維持するために、アレイ中の周囲のLEDは出力の補正、または均衡を取るために自己調節を行います。もちろん(エネルギー出力が低くなりすぎて)硬化しない、あるいは作動温度が高くなりすぎてシステムがシャットダウンするかのいずれかで、最終的にはアレイを交換しなければなりません。Semray UV LEDシステムはこのような交換をとても簡単に行うことができます。セグメント(モジュール)を取り外すため接続を切り、とても短いダウンタイムで予備セグメントを交換、設置することができます。それと同時に、チャンネル(アレイ)交換のため、お客様はメーカーにセグメントを返送できます。

回答9:UV LED硬化装置で試験をするオプションはたくさんあります。ラボテストは手始めに試験するには非常に効率良く、お客様は多額の費用を負担することなく、最初の試験をすることができます。塗料メーカー、UV LED硬化装置メーカー、受託加工メーカーは通常、 卓上式あるいは据置型のコンベア を用いて、お客様の基材や塗料で試験する施設を有しています。例えば、ヘレウスノーブルライト社は、社内のアプリケーションセンターにおいて無料のUV LED硬化試験を提供しています。そこにはアプリケーションエンジニアと化学者が常駐し、UV LED硬化パラメータを決定、最終特性とUV LEDシステム要件を検証し定量化しています。多くの塗料メーカーがSemrayをラボに保有していますが、ヘレウスノーブルライト社では貸し出しも行っています。

回答10:従来のUV硬化システムと異なり、UV LEDで異なる波長に変更することは、特にワイドウェブコンバーティングラインでは、お客様がモジュラ-システムを選定しない限り、かなり複雑になります。従来のUVシステムでの波長の変更は、水銀”H”バルブを他の封入ガスバルブに交換しなければなりません。ワイドウェブのUV硬化システムには、長いLEDアレイとして作られたものになります。従って、波長の変更はLEDアレイ全体の交換が必要で、これはかなり大がかりで時間が掛り、さらには費用がかかります。お客様が様々な波長を使用するというプロセスの柔軟性を必要とする場合は、モジュール式のUV LEDシステムの方が特注アレイよりも煩わしさがなく費用もかからず、切替時間も短くて済みます。例えば、プラグ&プレイUV LED硬化システムSemrayは、工具なしで容易に外せるモジュールを使用しています。様々な波長のスペアモジュールがあれば、数秒で容易に、そして迅速にモジュールを取り付けることができます。

UV LEDは表面硬化を要するアプリケーションに、従来のUV硬化システム(高圧水銀UVランプ、または無電極UVランプのHバルブ)との組み合わせで使用できます。UV LEDの長波長出力は、厚みのあるラミネート接着剤とコーティングの接着と硬化を確実にするために深部硬化します。その一方で、Hバルブの短波長は、ウインドウフィルムのハードコートのような硬度特性をもたらします。場合によっては、酸素阻害の低減と硬度の改善のため、窒素イナートが使われる場合があります。

回答11:UV LED硬化システムはシャッターを不要とするソリッドステート装置なため、システム制御は簡単であり、ワイドウェブのコンバーティングラインのプロセス制御方式に組み込むことができます。UV LED硬化ユニットはリモート制御される電源と、オプションのタッチスクリーンのインターフェースにより制御されます。柔軟性を必要とするプロセスの際は、一般的に瞬時オン・オフ制御と、エネルギー出力を40%まで可変できる調光機能があります。有電極ランプ硬化システムと異なり、頻繁なオン・オフサイクルにより、UV LEDの寿命を低下させることはありません。実際には、UV LEDの稼働時間はより短くなるので、頻繁なオン・オフサイクルは寿命を延ばすことになります。Semrayは、コンバーティングあるいはラミネートラインの様々な生産工程要件に合わせ、調光、照射幅など予め5つの項目を設定することができます。

UV LEDシステムには、適切な運転、早期故障の低減、迅速なトラブルシューティングの実施、一貫性のある出力を確実にするため、自己診断とモニタリングが可能なものがあります。例えばUV LED硬化システムSemrayは、自動温度管理とLED寿命を延ばすための自己調整冷却機能があります。過昇温によりLEDを高温ダメージから保護するためモジュールをシャットダウンするというように、センサーが検知し、警告を発します。さらに、個々のLEDチップが一つまたは複数のセグメント全体の一貫した出力を保てなくなるため、個々のLEDアレイはエネルギー出力のバランスを自ら取ろうとします。

回答12:UV LED硬化システムはLEDアレイからの熱を放出するため、水冷あるいは空冷のいずれか冷却方法を採用しています。いずれの場合も、冷却要件は水銀有電極ランプシステムよりも非常に少なく、冷却はとてもシンプルです。例えば、空冷式UV LED硬化システムは小型のマフィン冷却ファンが内蔵されています。従って有電極ランプと異なり、大型の外部ブロワーや大規模なコストのかかる排気システムの必要はありません。

周辺温度、湿度、システムの最大冷却空気量に基づいて、周辺条件には限界があります。例えば、UV硬化システムSemrayは摂氏10℃から40℃の間、結露が無いこと、最大湿度80%という周辺条件で作動します。雰囲気のダストや粒子状物質、可燃性物質が高レベルに達すると、従来のUV硬化システムと同様に、UV LED硬化のメンテナンス頻度が高まり、危険な運転状態を引き起こします。

回答13:UV LED硬化システムの価格は、そのアプリケーションが広がりに伴い下がっていますが、一般的には高圧水銀有電極ランプのUV硬化システムよりも高いです。UV LED硬化装置のほとんどの購入者は、導入によるコスト削減と収益の増加を投資利益率のベースとしています。コスト削減には、エネルギーコストと継続的なメンテナンスの低減、そして初期設備費(冷却と排気ブロワー、ダクト、電気、遮光など)の削減が含まれています。増収はダウンタイムが少なくなることで可能になります。場合によっては、新規の熱に敏感な製品を生産できるかどうかにも関係しています。

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