コンバーティングとラミネート:「将来性を考えた」UV LED硬化プロセス

UV LED硬化には、コンバーティングやラミネートプロセスの生産率を向上する多くの利点がある。しかし、UV LED硬化装置に今投資することは、如何に急速に技術が進歩しているかを考えれば、危険性が高いと思われる。本稿において私たちはUV LED硬化の利点、その技術進歩の動向、そして早期導入のリスクを最小限限にするための手段について触れる。

UV LED硬化の利点

UV LED硬化の主な利点の中には、高圧水銀UVランプを搭載した硬化システムと比べ、メンテナンス頻度およびダウンタイムの低減、作業費の削減がある。UV LED硬化システムはエネルギー使用量が少ない、有効寿命が圧倒的に長い、消耗部品が少ない、基板への熱ダメージが少ない、瞬時オン・オフが可能で、異なるプロセス要件に一致させるための調光さえも可能である(  UV硬化によるコンバーティングプロセスの改善 についてはこちらをご覧ください)。現在のUV LED硬化システムの長波長出力である365、385及び395nmは、ラミネート接着剤のような既存の鉄ドープランプによる照射プロセスに適している。生産率の大幅な改善の機会があるにも関わらず、プロセスエンジニアの中には、UV LEDが急速に進歩している背景から、装置とUV LED硬化プロセスがすぐに時代遅れになり更新に多額のコストを要することを恐れている方々がいる。そのため、UV LED硬化プロセスへの導入には消極的な場合がある。

急速な技術進歩


2000年代半ば以降、商業に用いられているUV LED硬化は急速に進歩している。空冷式システムでは、UVエネルギー出力あるいはW/cm2当たりのピーク照度は2008年から2014年にかけて約1.5から11に増加した。現在ではピーク照度が14W/cm2の空冷式UV LED硬化システムは一般的になり、16W/cm2のものも見られる。それらの進歩はUV LEDチップ技術の歴史的な急速な進歩によるもので、その効率は9~12か月毎に10~20%増加している。

そしてエンドユーザーにとってより重要なことは、UV LEDシステムメーカーが冷却技術と光学系を著しく進歩させていることであり、LEDチップのアレイへの高密度実装を可能にし、光学系の制御を著しく改善させ、基板への高いUVエネルギーが可能になっている。

UV LEDエネルギー出力が増加するにつれて、より速いライン速度を必要とするコンバーティングプロセスのような、さらなるキュアリングの応用が実行可能になっている。Yole Développement社の調査によれば、UV LED硬化は2012年に劇的に急増し始め、2021年には23%の成長が予測されているという。2014年現在では、55以上の製造メーカーがUV LED市場に参入しており、これは当該技術が継続的に商用に採用されていることを明確に示している。また、より広範囲に採用され、その量も増えたため、価格は過去10年間で約5分の1にまで急激に低下している。

従ってプロセス開発や設計エンジニアは、自社のコンバーティングやラミネートプロセスにUV LED硬化を導入するに適した時期がいつなのかを知るのに苦労している。導入が遅すぎては着手の遅い組織として見られるであろうし、早すぎては自社の装置とプロセスは、技術の向上に伴う更新作業を行うには、コストと時間が掛るかもしれない。

UV LED硬化プロセスの将来性の確保について


自社のUV LED硬化装置とコンバーティングの生産プロセスが、最新を維持する最良の方法の一つは、その「将来性の確保」である。つまり、技術進展と自社のプロセス要求の変更の両方に適用するため、容易にアップグレードができ柔軟性のある装置を探すことである。

最新のUV LED硬化技術への更新が可能

Semray UV LEDの更新


UV LED硬化システムの製造メーカーには、カスタムシステムあるいは最も一般的なライン幅のシステムを製造している会社があるが、一方ではモジュールシステムを採用しているところもある。一般的に、カスタムシステムあるいは特定幅のシステムは、新規硬化ユニットを丸々一台購入する必要があることから、最新のUV LEDチップ技術に更新するには、コストとダウンタイムの両方の観点から費用が嵩む可能性がある。他の全ての部品、つまり照射面、ハウジング、冷却用ファン、電力/制御及び架台などはそのままで、UV LEDアレイだけを交換できるシステムを探すと良いと考える。

モジュール式のUV LED硬化システムは、コピー機のトナーカートリッジのように、他の構成部品を交換することなく、UV LEDアレイを容易に取外し交換が出来るものを指す。例えば、UV LED硬化システム「Semray」のユーザーは、冷却、電源接続、あるいはその他の構成部品を交換することなく、UV LEDアレイを最新技術のものに更新することができる。

プロセス要件の変更に対する柔軟性

最新技術への更新に加えて、UV LED硬化システムは将来のプロセス要件の変更に柔軟に対応する必要がある。例えば以下のようなUVプロセス変数を変更できることが重要である。

  • 波長
  • 照射幅
  • UVエネルギー出力レベル
  • 光源距離

上記のような項目が変更できれば、将来のプロセス要件に対して十分に柔軟性をもって対応できる。

波長と幅

UVの調整


モジュールシステムではUV LEDアレイを異なる波長に交換することが出来るので、利用可能なUV LEDアレイ365、385、及び395 nmの波長変更は容易である。

UV LED硬化システムには、UV LED硬化システムを一つのラインに用い、各セクションの個別オン・オフ制御を可能にするものがある。これにより、UV LED装置の有用寿命を延ばす一方で、必要とされる生産幅に合わせた照射幅に変更し、エネルギーコストを低減することが容易になる。

Semrayは25mm幅でオン・オフ制御が可能である。

エネルギー出力と光源距離の変更

Semray UV LED マイクロオプティクス

ほとんどのUV LED硬化システムは、調光制御を使用してUVエネルギー出力レベルを変える。エネルギー出力の変更は、異なる塗料の硬化、そして/あるいは様々なライン速度下で加工される製品の硬化に有効である。例えば、UV LED硬化システムSemrayは、30%から100%まで1%ステップ刻みで調光することができる。

UV LED硬化システムではLEDアレイからのエネルギーは照射面から広い角度で放射されるため、光源距離を変更すると問題になることがある。広い角度の放射のため、光源距離が離れると基板に到達するUVエネルギーは著しく減少する。UVエネルギーが基板により効果的に照射される高度な光学系制御が可能なシステムが望ましい。

Semrayは、照射面から一般的な120°ではなく、60°の射出角に補正し、迷光を最小限にするマイクロオプティクスを使用している。そのため、基材のUVエネルギー密度を著しく低下させることなく、光源距離を20mmあるいは30mmまで離せる柔軟性を持ち合わせている。

更新可能であることと変更への柔軟性があること、これがリスクなく早期に導入できるポイントになる

UV LED硬化は、多くの商業プロセスでその信頼性と順応性があることを示している。毎年のように開発されるより強力なLEDチップ技術で、コンバーティングやラミネートプロセスに向けて、さらには高速のワイドウェブラインに対応するため、現在ノーブルライトではUV LED硬化を商業化する塗料メーカーとエンドユーザーの両者における研究開発チームと面談している。更新が容易で柔軟性のあるUV LED硬化装置を選定できることが、将来の成功へ導く、最新技術を使用した順応性のあるプロセスを確立するであろう。


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