炭素繊維強化プラスチック(CFRP)積層用の画期的な加熱システム「humm3 Enterprise」、国内販売を開始

~航空宇宙産業や自動車産業での生産用システム~

令和4年5月16日

英国ナショナルコンポジットセンター(NCC)に導入された超高速蒸着セル用humm3 enterprise
英国ナショナルコンポジットセンター(NCC)に導入された超高速蒸着セル用humm3 enterprise

ヘレウス株式会社(以下、当社。東京都文京区大塚2-9-3、代表取締役社長 山内 秀人)は、Heraeus Noblelight GbmH(ヘレウス・ノーブルライトGmbH、ドイツ・ハーナウ市、代表取締役社長 ローランド・エッケル)の英国子会社Heraeus Noblelight Ltd. (以下、ヘレウス)が、生産用に開発した、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の自動繊維積層装置(AFP)ならびに自動テープ積層装置(ATP)向けの加熱装置「humm3 Enterprise(和名 ハムスリーエンタープライズ、以下、本製品)を、日本国内の航空宇宙や自動車産業用に積極的に提案していくことをお知らせいたします。

本製品は、航空宇宙や自動車産業で用いられる炭素繊維強化プラスチックの自動繊維積層装置、自動テープ積層装置、フィラメントワインディング向けの生産用加熱システムです。開発を開始した2012年頃、これらの産業で最も必要とされていたのは、産業界で安全に使用できる熱源でした。材料の軽量化に応える熱可塑性プラスチックやドライファイバーなどの加工には、高いエネルギーが必要で、加えて強力で制御可能な熱源に対する要望がありました。当時、このような材料の熱源としては、レーザーがよく使われていました。しかし、その性能は高いものの、レーザ機器管理者やレーザ管理区域を設ける必要があり、安全上の負担が大きいという課題がありました。本製品は、このような課題にお応えし、堅牢かつ優れた動的制御に対する産業界からの高い要求に基づき開発されました。当社では、日本国内向けに令和元年にhumm3® ディスカバリーという研究開発用の提案を始め、そして今回生産用として本製品をご提案できることとなりました。

本製品は、ロボットアームの先端に取り付けるヘッドモジュール、電源、冷却用チラーで構成されています。特に工業生産や高度なプロセス開発、パイロットラインを対象としており、大規模な生産セルに最適です。主に圧力タンクやパイプ、航空宇宙産業で用いられるコンポーネントにおいて、高いスループットを実現します。また、フィールドバス通信とロボット定格のコンポーネントにすべて組み込むことが可能で、工業化のための強力で柔軟なシステムとなっています。本製品は、紫外線から赤外線まで非常に幅広い発光スペクトルがあります。一方、使用される材料にはそれぞれ異なる光の吸収波長と必要な光量があります。つまり、本製品は、様々な炭素繊維強化プラスチックを適切に加熱できるという高い対応力があるだけでなく、ユーザーも持続可能な生産を考慮して材料を選択することが可能になるという、生産の持続可能性にも貢献することができます。

本製品の主な特長は以下の通りです。

  • レーザ光源と同等の急速加熱および均一加熱が可能
  • 12.5mmから300mmまたはそれ以上の加熱ゾーンの拡張が可能
  • レーザ光源同等の出力にもかかわらず、レーザ機器管理者やレーザ管理区域は不要
  • フィールドバス通信およびロボット定格のコンポーネントにすべて組み込み可能
  • モジュラー電源によるロボットのオンとオフ
  • ロボット定格ケーブルを採用
  • フィールドバス通信またはアナログ通信により、簡単な組み込みと制御が可能
  • 「プラグアンドプレイ」コンセプトにより、ヘッドを容易に接続可能
  • 作業者の安全性が向上

本製品は、すでに欧州での採用が進んでいます。主には、研究パートナーである英国・バースのナショナルコンポジットセンター(略称NCC)、英国・国立大学であるシェフィールド大学先進製造研究センター(略称AMRC)、ドイツ航空宇宙センター(略称DLR)、米国・サウスカロライナ大学マクネア航空宇宙センターなどに導入されています。

当社では、本製品が加工上の安全性を確立でき、堅牢かつ優れた動的機能によって産業界での課題解決になるとして、炭素繊維強化プラスチックが用いられる航空宇宙ならびに自動車産業に積極的に提案していく予定です。