環境汚染物質測定用光源ユニット「NOx モジュール」、日本国内での販売開始~ランプ調整を不要にしたプラグ・アンド・プレイコンセプト~

昨今、世界における環境保全への意識が高まるなか、環境汚染の監視基準もますます高まっています。ヘレウス・ノーブルライト社は、プラグ・アンド・プレイという、接続してすぐに使えるコンセプトを起用した、環境汚染物質測定用モジュール、「NOx モジュール(以下、本製品)」を開発し、ヘレウス株式会社は、日本国内における本製品の販売を開始することをお知らせいたします。

The NOx electrodeless discharge lamp offers high accuracy in measurement of several gas components simultaneously and in real-time. The new module is flexible and effective in use with very low operating costs.

環境モニタリングは、環境状態やその変化を監視・把握し、保全のためのさまざまな試験、調査の結果を報じるために実施されます。主な監視領域の一つである大気分析には、高精度な測定機器が求められています。測定対象となる主な物質には、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)があり、それらを測定する一般的な方法には、化学発光法(CL)や非分散型赤外分光法(NDIR)などがあります。CL 法は、化合物の化学反応によって放射される光が、一酸化窒素濃度と比例関係にあることを利用して、測定物質の一酸化窒素濃度を測定します。これは精度が高いものの、複数物質の同時測定が出来ず、間接的な測定方法となるため、リアルタイム測定には不向きとされています。NDIR 法は、測定物質の赤外線吸収を利用する方法です。試料の複数物質を同時に測定することは可能なものの、試料中のH2 O およびCO2 の含有量によって測定結果が影響を受けることがあります。加えて、これらの方法では、イオン発生器、NOx コンバーターなどの機器も必要となります。

本製品は、UV 共鳴吸収分光法(UV-RAS)で用いられます。NOx の分子が共鳴吸収される輝線があるため、NOx、SOx など複数物質を直接的にモニタリングすることができ、UV 領域での測定ではH2 O およびCO2 による干渉がありません。そのため、NO とNO2 を同時にかつ別々に高精度に測定することと、リアルタイムに測定することの両立が可能です。

その一方で、UV-RAS では、光源の寿命と発光強度を最適化するためのUV ランプの動作調整に多くの経験や期間を要することが、長年の課題となっていました。ランプの調整が適切でない場合、光強度が不足して測定できなくなり、反対に、測定に十分な光強度を得るために過剰な強度に調整してしまい、寿命が短くなる、というジレンマが生じていました。適切な調整を自ら行うためには、寿命テストを実施し、場合によっては1 年という期間を要することもあります。

本製品は、無電極放電ランプと小型電源で構成されユニット化されています。お客様に信頼性のある測定を長期にわたって行っていただくために、予め安定した環境において、無電極放電ランプの性能、UV 強度、そして寿命といった動作的条件を調整しています。そのため、長年の課題となっていたランプの調整は不要になります。測定機器メーカーでは、本製品を測定機器に組み込み、電源を接続するだけで使用が可能です。また、本製品の大きさは名刺入れを2 個並べた程度のコンパクトサイズです。光源交換時も調整が不要で、本製品の本体を交換し再度電源と接続するだけで、使用することができます。

このように本製品は、NOx 測定用光源としての利便性と性能を追求したモジュールとなっています。

本製品は、欧州や中国において、昨年より市場での紹介を開始しており、特に排気ガスモニタリングに関わるお客様からの引き合いが増えています。日本国内においては、環境モニタリングや排ガス規制試験、海上排気装置モニタリング、大気質モニタリング用光源ユニットとしてご提案してまいります。また、当社では、本製品がUV-RAS での汚染物質の高精度な測定に対するご要望にお応えできるものとして、今後ますます高まる環境モニタリングへのご要望にきめ細やかにお応えしてまいります。