赤外線による
アルミ合金の高温加熱プロセス

高張力鋼板(ハイテン)や炭素繊維複合材料(CFRP)に加え、最近のクルマの軽量化で注目されているのは、アルミ合金です。アルミ合金は鉄や銅と比べ軽く、鋳造しやすく、強いという特徴があることから自動車に応用されています。この特徴を生かし、すでにエンジンやホイールなど多くの自動車部品にアルミ合金が使われていますが、ボディーへも採用されています。

アルミ合金は、ホットスタンプされ成型されますが、その鋼鈑を成型前に連続的に加熱する必要があります。アルミ合金の反射率は高いですが、赤外線技術によりオープンスペースで均一に加熱することができます。

近年、アルミ合金を半融解する『セミソリッドダイキャスト』または『半凝固ダイカスト』と呼ばれる、アルミ合金をスラリー状態でプレス成型する手法も注目されています。この方式に赤外線加熱を活用することで、プロセスの効率化が期待されています。

半融解したアルミ合金を用いるプレス方法『セミソリッドダイキャスト・プレス』を社内で実験した時の動画です。この高出力赤外線ユニットは、オープンな環境下で、加熱温度600~650℃にも対応しています。私たちは、輻射加熱を効率的に活用する提案をしています。

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赤外線加熱によるアルミ合金の半融解の動画

ご紹介している水冷式高出力赤外線ユニットは、肉薄な金属から重厚な金属まで、幅広く対応します。炉のタイプではなく、オープンな環境で加熱することができ、個々の材料に応じて細かい制御ができるのも赤外線の特長です。

高い温度にも、高速にも追随する傍ら、高いエネルギー密度も得ることができます。

高出力赤外線システムの特長

  • 鋼板(t=0.8mm)を900℃で15秒以内で加熱することが可能
  • 赤外線ヒーターの偏ピッチ配置を採用し、温度ムラを防ぐ均一加熱が可能
  • 従来型のヒーターや炉などと異なり、雰囲気温度に依存せずオープンスペースでの加熱プロセスが可能
  • 立ち上がりの早い赤外線ヒーターシステムを用いることで、プロセス時間の短縮化が可能
  • 設置スペースの縮小化が可能

社内での加熱実験結果:アルミ合金のホットスタンプ加熱プロセス

アルミ合金の加熱実験結果

反射率の高いアルミ合金でも400~600℃の加熱に対応し、タクトプロセスで省エネルギーにも貢献します。

加熱条件:

  • サンプル:Al t=2mm
  • 目標温度:450℃
  • 赤外線: 短波長赤外線ヒーター
  • 昇温出力:250kW/m2(両面)

社内での加熱実験結果:アルミ合金のセミソリッド(半融解)ダイキャスト

アルミ合金の半凝固加熱実験結果

赤外線加熱は、固体状態のアルミ合金を半融解できる能力があります。実験では、A7075を用いていますが、A5052でも同様の結果が得られています。

加熱条件:

  • サンプル:A7075 t=10mm
  • 目標温度:630℃
  • 赤外線:短波長赤外線
  • 昇温出力:250kW/m2(片面)

アルミ合金の主な用途

  • コイルの乾燥工程、焼鈍加熱
  • 半凝固ダイカスト(セミソリッドダイキャスト)の予備加熱
  • インゴットの予備加熱
  • 押出、圧延での予備加熱
  •  金型の予備加熱