多くの産業用の光量計は、エネルギー密度(J/cm2)と照度(W/cm2)の値を表示する。図1で表示されている、各バンド(UVA、UVB、UVC、UVV)のエネルギー密度値(J/cm2)は、光量計が通過したすべての光源からの合計値である。照度値(W/cm2)は、最も強い光源から得られるピーク値である。単一のUV光源では、この情報は有用になる。
プロファイラー: UV測定に役に立つ光量計
EIT 2.0 LLC、セールスディレクター、ジム・レイモント
複数の光源下で測定した場合は、表示される「値」は誤解を招く可能性がある。図1の値は3つの異なるUV光源から得られたもので、個々の光源の照度とエネルギー密度の値は大きく異なっている(図2参照)。表示されているピーク照度値は最も強い光源から得られたもので、エネルギー密度の値は3つすべての光源からのジュールを合わせたものとなる。標準的な光量計の場合、ユーザーはそれぞれの光源を個別に測定し、それぞれがウォームアップして安定するまでの時間を確保する必要があるので、1つ1つの光源を測定するには時間を要する。
プロファイリング光量計には、さまざまな選択肢がある。ディスプレイ付きの測定器は、相対強度を表示できるが、多くの場合、解像度が低い。データをコンピューターに転送するプロファイリング光量計では、1回のクイックパスで、それぞれの光源から個別に照度とエネルギー密度値を計算することができ、貴重な生産のダウンタイムを最短に抑えることができる。
注意:この記事では、実際の個々の数値よりもプロファイルの形状に焦点を当てている。以下の図において、X軸は時間、左のY軸はW/cm2、右のY軸が表示される場合温度を示す。特に断りのない限り、画像はすべてEIT 2.0 LLCからの出典である。
プロファイリング光量計は何に役立つのだろうか?
プロファイリングバージョン光量計は、以下を素早く簡単に識別できる。
1.光源の数、個々の性能、光源のタイプ:
図3(UVA=青、UVV=赤)は、出力が大きく異なる3灯の光源を示している。UVA:UVVの比率から、最初の2灯の光源は水銀-ガリウムバルブで、3番目の光源は水銀バルブである。最初の光源から3番目の光源にかけて出力が低下している。
2.ランプの焦点条件と焦点の変化:
図4は2つの光源を示している。最初の光源(左)は、UVA:UVV比から考えると水銀-ガリウムバルブである。これは特徴的な「二重ピーク」に基づく非焦点光源で、物理的な位置の変化(ランプと基材、基材の高さ自体、および/またはリフレクターに対するバルブ位置の変化)から生じることが多い。非焦点光源は、製品の光沢感などのプロセスパラメーターを制御するために使用される。その他すべての条件が同じであれば、非集光光源では通常、ピーク照度値は低くなる。このため、集光光源用に設計されたプロセスでは、問題が生じる可能性がある。 UVAとUVBの比率から、2つ目の光源(右)は水銀バルブの集光型光源である。グラフ右のY軸の値は温度プロファイルを示している。温度データはEIT PowerMAP IIに熱電対を取り付けて収集している。温度はUV光源を1秒ほど過ぎたところでピークに達している。
3.システムの均一性:
プロファイラーを使えば、装置の幅方向の均一性を簡単に確認することができる。図5は、ランプ一灯/ランプ一灯/ランプ二灯のパターンで4灯のランプを使用した48インチ(122cm)幅のシステムを示している。各ランプの左側、中央、右側で測定され、そのプロファイルは光源の幅に沿って現実的なばらつきを示しており、これは一貫性のない硬化につながる可能性がある。
均一性を改善するためのトラブルシューティングには、リフレクターに対するランプの位置、ランプの湾曲、不均一な冷却/気流、および/またはメンテナンス後の間違った再組み立てのチェックが含まれる。図6は、3インチ(7.6cm)間隔でランプの下を21回通過したデータをエクスポートし、エクセルで作成したものである。ランプ端部における低下は、硬化する製品幅よりも、光源をわずかに長く設計することの重要性を示している。
4.プロセス速度の変化:
図7は、異なる速度で測定されたLEDを示している。ピーク照度(W/cm2)の値に基づいて、PowerView IIIでファイルを整列させた。
ピーク照度値はほぼ同じであるが、「曲線下の面積」またはエネルギー密度(J/cm2)値は、搬送速度が遅いほど大きくなる。
5. 光源距離の影響:
プロファイリング光量計を使用すると、光源を硬化物表面からの高さを変化させた場合の影響を見ることができる。図8はLEDアレイ、図9は水銀バルブの光源を異なる高さで測定したものである。距離、システム設計、バルブの位置、リフレクターの形状、二次光学系、および光源周りの遮蔽は、高さの変化に伴い硬化面への紫外線の照射方法に影響を与える可能性がある。
6. メンテナンスの必要性を特定し、対処する:
図10は、設置当初から大きく状態が変化した2つのランプを示している。プロファイラーを使用することで、メンテナンスの問題に対処することができる。
7.個々の光源性能:
プロファイラー測定器を使えば、複数の光源を搭載した装置内の、個々の光源からの照度とエネルギー密度の値を迅速に測定することができる。図11は、5灯搭載された装置から得られたUVAプロファイルを示している。
図12は、5灯の光源すべてからの合計の照度(出力)とエネルギーを示す表である。値は0秒から107.65秒までのデータを収集している。
図13は、図11のランプ4と5だけを拡大した図である。カーソルはランプ4の両側に置かれており、このランプだけのUVA照度/出力(430 mW/cm2)とエネルギー(234.4 mJ/cm2)の値を図14に示すことができる。この値は83.0~85.0秒間のデータから得られた値である。カーソルは簡単に動かして、装置内の各ランプを分析することができます。
まとめ
プロファイリング光量計は、「数値」のみを表示する光量計と比較して複数の利点がある。画像を表示し、生産を維持するためにメンテナンスが必要なUVライン部分を素早く特定することができる。これは最終的にはダウンタイムの短縮とメンテナンス費用を節約することになる。
*原文はEIT2.0社 Director of SalesのJim Raymont氏によって英文で作成され、北米ラドテック協会が発行したUV+EB Technology 2023年Quarter 2の10から12ページに掲載されました。本資料は、EIT2.0社ならびに北米ラドテック協会より、和訳許可および日本のお客様へのオリジナル資料の解釈を目的とした転載許可のもと、エクセリタスノーブルライトジャパン株式会社が和訳し要約したものです。
英和に齟齬があるときは英文が優先します。
原文掲載URL: https://uvebtech.com/articles/2023/profilers-radiometers-with-benefits/
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