測定におけるコサインエラー
2つ目のタイプの誤差は、測定の形状に関連している。測定器が光源の真下に位置しているとき、測定値は最大となる。上の図で説明したように、光量計をこの軸から遠ざけると、読み取り値が減少することはすでに見た通りである。添付の図8は、現実の光学系が期待される応答からどのように読み取り値がずれるかを示す実例である。最も内側の曲線は、プローブタイプの測定器での最初の光学設計を示しており、このコサイン応答は、最も外側のコサイン曲線で示される期待値から大きく外れていた。設計を再考した結果、実際の応答(中央の曲線で示される)は適合性が良くなり、より正確なデータが得られるようになった。コサイン応答は、光源のプロファイリングにおいて、ランプの最大照度と直接一致しない測定を必要とする重要な特性である。固定された光源から既知の角度に光量計を動かし、理想的なコサイン曲線と比較することで、ユニットのコサイン応答をチェックすることは可能であるが、光量計の光学系の構成の品質を証明できるメーカーから機器を購入する方が簡単かもしれない。
光学系のダイナミックレンジ/光学系の劣化
測定に適したレンジの光量計を選ぶことは重要である。低強度(出力)の光源に高強度(出力)測定用の装置を使用すると、正確な結果が得られない。逆に、低強度(出力)の光源用に設計された測定器を高強度(出力)の光源の測定に使用すると、測定器が損傷する可能性が高くなる。
光量計は、測定用の小型電子ディテクターと、入射する紫外線エネルギーを調整するための多くの光学部品の影響を受けている。測定器はディテクターに到達するUV量のバランスをとる必要がある。適切な信号を生成するためには、十分な量の紫外線がディテクターに到達する必要がある。一方で、ディテクターに到達するUV量が多すぎると、ソラリゼーションによって測定器を損傷する可能性がある。一部のコンポーネントは、高強度のUVに継続的に曝されると、劣化(または「ソラリゼーション」)する可能性がある。ソラリゼーションは通常、光学系の透過特性を変化させ、時間の経過とともに衰(または減少)させることで、測定値に影響を与える。ソラリゼーションプロセスは、適切な光学系の材料を選択することで最小限に抑えることができるが、残念ながら避けられないことも少なくない。定期的な校正によって変化を補正することができるが、長期的には光学部品の交換が必要になる場合もある。
温度
プロセス中に測定器にかかる熱は、UV硬化中の避けられない副産物である。多くのUVランプは、UV領域よりも長波長の赤外線や対流でより多くのエネルギーを放射する。UV光量計はこのエネルギーを測定していない場合が多いが、その影響を受ける。特に非常に高出力の光源を長時間露光する場合、プロセス中の熱がUV測定の誤差を生む可能性がある。測定器の検出器がどのように反応するか、サプライヤーに確認することが重要である。多くの測定器の反応は、測定値を低下させる。
極端な高温下にさらされると測定器を損傷させることがある。内部温度が推奨動作温度(例えば65℃)を超えた場合に警告を発する内部アラームを備えているものもある。
UV硬化条件仕様書の作成
サプライヤーにとって測定方法の最も一般的かつ重要な用途の一つは、硬化条件の仕様書の作成である。前述した議論から、優れた仕様書において何が重要であるかが、ある程度明らかになることを期待する。波長、照度、エネルギー密度はすべて硬化プロセスにとって重要であり、硬化条件の仕様書の一部に含まれているべきである。
UV光源の出力は時間とともに変化する可能性があり(実際に変化する)、またすべての顧客が指定された光源を使用するとは限らないため、UV光源を説明するだけでは十分ではない。そのため、例えば300W/inのフュージョン(現エクセリタスノーブルライト)Hランプや200W/inの鉄ドープランプでテストを行うとしても、この記述は仕様書の代わりにはならない。
UV仕様の例:
「フュージョン600W/inランプ」
この情報だけではお粗末な説明になる。これでは情報が少なすぎて何もできない。600W/inはこのランプに入る電力の指標であり、塗料に照射されるUVについての情報はない。どの波長?H、V、Dランプ?エネルギー密度は?
「400W/inの水銀ランプで5秒間」
少し良くなったが、塗料に到達するUVよりも光源に関する情報がまだ多い。私たちが知りたいのは、照度や積算光量の測定情報である。
「600 mJ/cm2」
さらに良くなった。少なくとも、測定情報が示された。しかし、かなりの重要なデータがまだ省かれている。例えば、波長は?
「600 mJ/cm2 UVA」
良い表記だ。どの測定器を使うかさえわかれば、この仕様を再現するのに十分な情報が示されている。
「600 mJ/cm2 UVA(EIT 320-390)」
より良い仕様である。このデータを測定するためにどのような光量計が使用されたかがわかる。
「300 mW/cm2 600 mJ/cm2 UVA (EIT 320-390)」
もっとも良い表記である。適切な硬化を確実にするための情報と、実験室での条件を現場で再現する方法が完備されている。
コーティングプロセスによっては、表面硬化と深部硬化の両方を完全に行うために、2種類のランプを使用することがある。この場合、適切なデータと硬化情報を記載する必要がある。どのような場合でも、UVバルブの種類や塗膜の厚さ、塗布データなどの追加情報があれば、顧客は貴社の意図を理解しやすくなり、適切なプロセスを確立し維持するための、より完全なガイドラインを得ることができる。このような事前のコミュニケーションは、将来的にコストのかかる、責任追及されるミスをなくすのに役立つ。
まとめ
UV測定には、波長、照度(一般的にはピーク照度)、エネルギー密度(積算光量)に関する記述が含まれることを紹介した。フィルタリング、ソラリゼーション、コサイン誤差など、照度測定に影響を与える要因について紹介した。
エンドユーザーは、UV測定によってプロセスをモニターし、問題が発生した場合のトラブルシューティングを行う。サプライヤーはこれらのUV硬化の仕様の確立を支援する必要がある。情報の受信者が提供者の意図を明確に理解するためには、明確なコミュニケーションが不可欠である。そのために、硬化の仕様書にはプロセスを再現するために必要な基本的要素を含めるべきである。