なぜUV LEDを測定するのか?

知っておきたい照度計・光量計情報

技術的な観点と実践的な観点の両方から、UV技術の疑問を解決していきましょう:UV測定の技術的側面を理解し、実践的に応用しましょう。

UV LEDはソリッドステートデバイスであり、数千時間から数万時間にわたって安定した出力が期待されています。そんなに安定しているなら、なぜUV LEDを測定する必要があるのでしょうか。

UV LEDを測定する理由は、広帯域ランプを測定する理由と同じです。UV LEDを測定することで、以下のことが可能になります:

  • スクラップの削減と歩留まりの向上による時間とコストの削減
  • プロセスウィンドウの確立
  • サプライチェーンとのコミュニケーション
  • ラボから生産へのプロセス移行
  • メンテナンスプログラムの推進
  • プロセスが機能しない場合のトラブルシューティング
  • 必要に応じた、顧客への適合証明書の提供

何を測定すればよいのだろうか?

UV LEDの場合、このコラムではLEDの発光波長を材料の化学的性質に合わせることを前提としています。測定すべきパラメータは、LEDの照度とエネルギー密度の2つになります。

照度

照度とは、使っているUV光源の出力、つまり「明るさ」のことです。照度はワット/cm2で測定されます。UVLEDメーカーは通常、UV LEDの出力を「ガラス面」で測定したワット/cm2で表示します。UV LEDの場合、照度は、出力設定、光源距離、光学ウィンドウの清浄度によって時間と共に変化するパラメータです。広帯域ランプの場合、照度はランプ自身の経年劣化や反射鏡の清浄度によっても影響を受けます。照度計は、硬化基板上の異なる高さにおけるUV LEDの性能を判断するのに役立ちます。

エネルギー密度

「ドーズ(積算光量)」と呼ばれるエネルギー密度は、適切な硬化に不可欠な第二の要素です。エネルギー密度とは、UV硬化材料が一定の照度に一定の時間曝されることです。エネルギー密度の単位はジュール/cm2、1秒間の1ワットの照射は1ジュールに相当します。

コーティング剤、インク、接着剤を硬化させるには、照射量と照射時間の両方が、定められたプロセスウィンドウ内になければなりません。最良の結果を得るために、UV硬化レシピは通常、最小の照度と露光時間(エネルギー密度)を必要とします。

監視すべきプロセス変数とは?

プロセスに関連するすべてにおいて、経時で変化がないと確信できるなら、このプロセスは封印され、忘れ去られるかもしれません。しかし、現実には、物事は変化します。私たちは、変化する可能性のあるものを大きく2つに分類しています:「環境」要因(機器の故障など)と「人的」要因(オペレーターの交代など)です。いくつかの可能性を表1と表2に示します。

変数 影響 現象/検出方法
冷却不足 光源の故障
出力低下
照度測定
冷却の検査
チラーの不具合 光源の故障 温度測定
半導体不良またはダイ/チップの故障 LEDの故障(縦列又は横列、個々のダイオード)
出力損失
目視検査
照度測定
電源故障または不安定 LED出力の変動
ダイオードの故障
UVLEDメーカーの仕様で定められた電圧測定
表1. UV出力を変化させる環境要因の例
変数 影響 現象/検出方法
ラインスピード 速すぎる速度はエネルギー密度を低下させ、硬化不良の原因となる エネルギー密度(J/cm2)の測定
LED出力 低すぎる出力は硬化不良や接着不良の原因となる 照度測定(W/cm2)とスクラッチテストなどの実施
LED光源距離 高さを変えると、UVが硬化表面にどのように照射されるかが変わる 照度とエネルギー密度の値をモニター。光量計を使用することで照度プロファイルが分かり、プロセスウィンドウを設定する際に役立つ
LEDの清掃、硬化材料からの揮発ガス LEDと硬化塗膜の間の汚染、これらは出力低下と硬化不良の原因となる 照度とエネルギー密度の値を監視
誤ったLED波長の導入 関心のあるバンドの出力低下は硬化不良または硬化しない原因となる 照度測定、分光測定、LED光源とプロセスの適合性
表2. UV出力を変化させる人的要因の例

理論的に十分な知識を持っていても、単純で実践的な誤解のために間違いを犯すことがあります。使用する光源の種類を確認し、光源と強度の両方に適合した測定器を使用することが重要です。



*本資料は、EIT2.0社ならびに北米ラドテック協会より、和訳許可および日本のお客様へのオリジナル資料の解釈を目的とした転載許可のもと、エクセリタスノーブルライトジャパン株式会社が和訳し要約したものです。原文はEIT2.0社(旧EIT社) Director of SalesのJim Raymont氏によって英文で作成され、北米ラドテック協会が発行した  UV+EB Technologyの2019年1号 10および11ページ に掲載されました。英和に齟齬があるときは英文が優先します。

原文掲載URL:  https://bluetoad.com/publication/?m=35753&i=568830&p=12&ver=html5